SSブログ

[再掲]『ブラック・ジャック』の「人形と警官」 手塚治虫にも「文芸の哲学的基礎」があったようである。 [アニメ・マンガほか]

『手塚治虫漫画全集 ブラック・ジャック 第4巻』に第2話「人形と警官」という物語がある。

「人形と警官」は、警察官の人形の物語である。


この物語は、警察官の人形に市民が脅かされて、

「なんでえ人形のポリ公かい」といって、警察官の人形を痛めつけるという場面からはじまる。

警察官の人形は、市民に倒されたり、顔にペンキを塗られたりする。

そのたび、警察官は、倒された人形を起こしたり、掃除をしたりする。

そのうち警察官は、警察官の人形に話しかけたりするようになって、周囲から奇異な目で見られるようになる。

そんな様子を心配した警察官の母の「近所の人がねおまえがあの人形に話しかけてたって」との問いに、

警察官は、「ああ…、おれあいつ好きなんだ」などと答える場面が描かれている。

さらに手塚治虫は、警察官に「おれナマミの人間とはつきあえないんだよ」と語らせている。

警察官は、警察官の人形に悪戯する人間を捕まえようと張り込みをする。

犯人を見つけた警察官が、犯人を追いかける際に、信号無視をして車にひかれる。

瀕死の重傷を負った警察官の命をブラック・ジャックが救い、

警察官は入院先の病院の看護婦と付き合いはじめ、めでたしめでたしという話だ。


警察官の人形が人形だと分かった瞬間、市民が人形を痛めつける姿は、当時の市民の警察への感情が良く描けている。

警察官に「おれナマミの人間とはつきあえないんだよ」と語らせているところは、漱石の警察官は人間失格という言葉に通じるものがある。

どうやら、手塚治虫にも「文芸の哲学的基礎」があったようである。


nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

Facebook コメント